絵本『スイミー』です。趣をかえて。
---
日差しに目を細めて薄手のカーデガンを手にし、息子と手をつないで向かう。
木製のドアを開ける。
カランと高めの音が鳴り、奥へ通される。
レッドオークのテーブルと椅子に、名前をしらない観葉植物のコントラストが心地よい空間を広げている。
椅子に腰をおろすと自然にはぁと小さく息をついていた。
窓越しにみえる、緑とあおの境界がくっきりしてくる季節。
オーダーするとすぐに手持ち無沙汰になる息子と壁際にいってみる。
壁に埋めこまれた本棚、置いてある絵本まで雰囲気を出している。
そのなかの一冊に目がとまる。
「これは?」
息子はさほど興味をしめさなかったけれど、わたしの念を感じたのかそれを持って席に戻った。
スイミー。
ちいさい魚。きょうだいたちはみんな赤いのに、スイミーだけ黒い。
乗り気でなさそうに肘をついたまま続きを聞いている。
そんな態度に気がつかぬフリをして読みすすめていく。
海の透明さを感じられる、淡い色彩。
エビやクラゲがページの揺らぎで泳ぎはじめる。
困難にあったスイミーは考えて、かんがえて、
そうだ!
ページをめくると、息子の表情が一変。
わぁーっ!
声がなくとも、それを見れば分かる。
こどももアッといわせるストーリー。
いい絵本だな。
おしまい、とゆっくりと本を閉じると、なごり惜しそうに背表紙を見つめる。
本をひらいて表表紙から裏まで絵がつながっているのを見る。これは息子のお気に入り。
読み終えたのに気がついて、お父さんが声をかける。
スイミー、おもしろかったか?
お父さんも保育園のとき読んでもらったんだよ。
また息子の目がくりくり回る。
お父さんも?
裏表紙を開くと、1969 が目に止まる。
そうだね、お父さんもお母さんもこどものころだね。
わたしも読んだ記憶がある、でも、こんなに美しい絵本だったかな?
ちょうどそこへお皿が運ばれてくる。
さあさあ話はいったんおえて、ね。
あとでもういちど読んでみましょう、食後の一杯とともに。
家族で、スイミーに会いにいこう。
スイミー レオ・レオニ/谷川俊太郎 好学社 1986年08月 売り上げランキング :
|
---
休日にとても素敵なカフェをみつけました。
5月の陽気と木とグリーンの空間で読んだ海の絵本がとても心地よくて。
とっても可愛い絵本でした。
なんかその思いを書きとめたくて。
……でもね、伊勢エビと訳されていたけれど、絵にはハサミがついてて。
伊勢エビにはハサミがないんです。
そういう細かいのに反応してしまう大人になってしまったなぁ。苦笑。
---
お読みくださいましてありがとうございます。
↓ にほんブログ村に参加しています。よろしかったらclickお願いします。
---