寒いながらも春らしさが近づいてくるような、いまの時期、三年前を思い出します。
きょうは思い出話におつきあいくださいね。
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春にある入学式のフォーマルスーツ、どうしようかな……
もうすぐ3歳をむかえる息子と買い物にいきました。いつもは食品売り場にしか寄りつかないけれど、その日はエスカレーターで2階へ。
華やかなフロアではマネキンまで微笑んでハレの日を迎えるように見えました。
似つかわしくない親子がウロウロ。
ジーンズ姿にひっつめ髪、大きなリュックを背負ったママと、まだオムツで大きなおしりの子ども。
私はキョロキョロ、息子はちょこちょこ。
かくれんぼと勘違いしてるような?
三歩うごくと「どぉーこだぁー?」と聞かれて「うーん、どこかなぁ? 」と言いながら視線はつぎつぎとハンガーを追っかけていく。
目にとまった2着をもって試着室へ。
息子がさきに入ってしまい、鏡で遊び始める……
あーあ、やっぱり子ども連れてはキビシイなぁ、でも着てみたいしな。
リュックはパンパン。息子のオムツ、トイトレの着替え、お茶におやつ……荷物でせまい試着室の一角を占領してしまう。
「おかあさんこれ着るから、ちょっとだけこっちにいてくれる?」
いっしょに入るスペースはないので息子を少しだけカーテンの外へ。
慌てて着替えながら、息子にずーーっと話しかけて。
「いるかなー? もうすぐだよー。」カーテンから顔をだして確認。よし、いる!2着目を着てみる。
なんだか後ろがゴソゴソするぞーっ思ったら、カーテンの下から入ってきちゃった。
「おかーしゃ、なにー?」
母親が見たことのないような服を着ようとしていてポカンと口を開けていた。
子どもを蹴とばさないようにしながら、やっとこさスーツを着て鏡を見ると、息子が脚のうしろから顔をだして
「これ、かわいー。」
と脚元にぎゅーっとくっついてきたー!
いつもジーンズで息子をかかえているから、スカート姿は見たことがないよね。
スカートという言葉も知らないんだ!
ひらひらするスカートってこんな小さな子でも可愛いと思うのね〜と感心しました。
すわって息子の顔をみようとすると、何かをみつけて
「きらきら かわいー」
と胸元を指で触りました。そこには縫い付けられたビジュー。
きらきらするもの、好きだもんね。かわいい?って聞くと
「おかーしゃ、かわいー」
お母さん可愛い、なんて言われたら、キャ〜もう♪ 息子を抱きしめて大喜びでした。
「えぇ〜可愛い?? 買っちゃう? 買っちゃおかな〜!」
↑ 可愛いころのおはなし
息子は言葉がおそくて、やっと少しずつお話しができるようになってきて、自分が思ったことを伝えてくれました。それが「可愛い」なんていう褒め言葉。
うれしくて涙ぐんでしまいました。
たったそれだけで、いままでお母さんをやってきてよかった、そう思えたのです。
よし、買うぞ〜!と思って出ると、カーテンのむこうで店員さんがにっこりしていました。
息子に声をかけてもらい「お母さん可愛いね〜。ボクも可愛いよ〜。」と言われて、恥ずかしくて息子よりも頬がピンクになったのでした……。
あれから三年。
幼かった息子は、元気なおもしろ少年になりました。
もう可愛いなんて言ってくれないかな〜。
……そ、そのスーツが、入らな… ヤバッ
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