雨上がりには虹が見えるよ ー自閉症のしょうとの歩みー

自閉症スペクトラムの息子(2013年生)との日々を綴ります。家でできる療育をしながら楽しく、ときに悩ましく毎日を過ごしています。

おかあさんのパンダちゃん

発達障害自閉症スペクトラム)と診断された2013年生まれの息子との日々を綴っています。
週末はゆったりと子育てあれこれな話を。

 

息子、年長。からだも大きくなり体力もついてきました。ずいぶん男の子らしくなりました。
なのですが、寝るときはお友だちといっしょ。笑。ぬいぐるみを抱きかかえて眠りにつきます。
いちばんのお友だちは「しまじろう」。

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大好きだけれどあつかいが乱暴になることもあって、その晩もそうでした。
寝付けずに退屈していたからか、布団の上でしっぽを掴んでブンブン振り回していました。
見かねた私も布団に寝転んで「かわいそうよー。」と声をかけました。
プイッとすねてしまい息子は背中をむけてしまいました。
転がったままの体勢でポイーっと放り投げました。ぽさっと落ちて体が曲がったまましまじろうは上を見ていました

私はふぅーっと息をついて静かに話をはじめました。

 

おかあさんが幼稚園にいくよりも小さい頃にね、
ぬいぐるみをもらったの、パンダちゃん。
おかあさんはパンダちゃんが大好きになって、いつも一緒だったの。
おままごとも、本を読むときも、寝るときも、だっこしてた。
おててを繋いだり、耳をひっぱったり。よだれも涙もついてたかな。
そしたら、パンダちゃん、だんだん汚れてきて、やぶれてきて。
ばぁばが縫って直してくれて、また一緒にいた

……んだけど、
いつしかパンダちゃん、いなくなっちゃった。
直してもまた、汚れてやぶれて中が出てきちゃってたしね。

おかあさん、悲しくてパンダちゃんを一生懸命さがしたの。
でも、いなくなっちゃった……

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うっ、ううっ、、
息子の背中が小さく揺れていました。
母親に抱きつくこともなく、ひとり声を押しころしていました。


彼はなにを感じたのでしょう。
パンダちゃんが可哀想だった?
しまじろうがいなくなるかも、と思った?

こんな気持ちのときも、母親に甘えることをしない息子。
悲しいときは人の温かさに包まれてもいいんだよ。
こちらから抱きしめようとしても暴れて反発します。
こんなときどうしてあげるのがいいのか分からない私。
彼の感性は、母親にもわからないところが多くて、どれだけ想像をしても何かは見えてきません。
届けられないこの思いを胸にしたまま、私も目尻に伝うものがありました。

 


パンダちゃんは、私の母がさよならしたのでした。
引っ越しの際に父や祖母(母からみて義母)から汚いから処分したら?と言われたそうです。
たしか母の実父がある日とつぜん訪問して、そのときにプレゼントしてくれたとか。
私を散歩に連れ出し、手をつないで出かけて行ったそうです。育児に疲れていた母は少しだけ自分の時間をもてたそうです。そのときは分からなかったけれど、そういうことだったんだろうとかなり後になって気がついたそうです。
厳しかった父親が別人のように孫には優しい顔をしていた。
パンダちゃんがいなくなり、毎日泣いていた私を見ていて胸が痛かったと。

きっと母にとっても大切なものだったんでしょう。
私より小さくなってしまった背中で、私が覚えていない昔の話をしてくれました。
腕で顔を覆いながら、あの頃の母の思いに触れたように思いました。

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来春には息子も小学生になるし、そろそろぬいぐるみと寝るのは卒業かな? それまでは大事にしてほしいな、そんな思いで昔話をしたのですが。
まだ息子には早かったのかもしれません。

パンダちゃんを失った悲しみは覚えていないけれど、薄暗いなか震えていた息子の背中を忘れることはできません。

やっと寝息が聞こえはじめました。
閉じた瞼はうっすら光っているようでした。
しまじろうをそっと横において、タオルケットをお腹にかけました。

まだまだしまじろうと一緒にいよう。
おかあさんも見ていたいよ、キミとしまじろうが笑っているところを。

 

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